お酒に強いか弱いか
「酒は鍛えれば飲めるようになる」そんな迷信めいたことを、学生時代に諸先輩方から言われ、半ば無理やりに酒に付き合わされた経験がある方も多いのではないでしょうか。
アルコールには強い、弱いがあります。これはいったいなぜなのでしょうか?
アルコールの強さを決めるもの
アルコールを分解するところは、ご存じ、肝臓です。そのため、お酒を過剰に飲みすぎると最悪の場合、“肝硬変”という恐ろしい病気になってしまうのです。
この肝臓は、入ってきたアルコールを、“アセトアルデヒド”という成分に変えます。アセトアルデヒドは、二日酔いの原因ともなるものであり、この段階だと、まだ人間にとっては有害な敵です。しかしこのアセトアルデヒドは、ALDH2という酵素と反応しあうことで、無害な成分に変わります。
つまり重要なのは、このALDH2なのです。
このALDH2が、アセトアルデヒドを素早く代謝してくれる人の場合、アルコールを飲んでも酔いにくく、“お酒に強い人”となります。
逆に代謝が遅い人の場合、“お酒に弱い人”になります。ちなみに、この酵素がまったく働かない人(不活性型)もいます。
どうやって決まるのか
これらは生まれ持った遺伝的なものであり、後天的な要素はありません。そのため、親から受け継いだ因子によって決まります。
両親ともがアルコールに強い場合は、子どももアルコールに強くなります。
さらに、強くなるかどうかの割合は人種によって違っていて、白人や黒人はほぼ100%が酒豪になれる遺伝子の組み合わせです。
日本人を含む黄色人種では、酒豪が50%、下戸が5%、そして残りが強くなれる可能性があるタイプです。
“強い遺伝子”と“弱い遺伝子”をそれぞれ持つ人は、ほどほどに飲めそうな感じがしますが、初めは限りなく下戸に近い状態。
しかし、飲酒の機会が増えることで、強さが増していくタイプです。
「弱いかどうか」を見極める方法
1.DNA検査
アルコール代謝関連遺伝子検査では、このADH2とALDH2の遺伝子の型を調べます。これらの遺伝子を調べるとお酒に対するあなたの適応能力を知ることができ、体質に合ったお酒との付き合い方がわかります。
2.アルコールパッチテスト
腕に消毒用アルコールをパッチテストするだけで簡単に分かります。
3.顔が赤くなる(1~2週間アルコールをやめて、再び飲んだ時に真っ赤になる人も含)
アルコールを初めて摂取した時、又は何週間ぶりかにアルコールを摂取した時に、顔が真っ赤になる人は分解酵素が少ないといわれています。
4.飲んだ翌日の口臭がきつい
アルコールの分解速度が遅いので、翌日に口臭という形で残りやすくなります。
飲んでから随分経過しているのに「酒臭い」という方は弱いという傾向にあるようです。
酒に強くなっても、病気になってしまっては意味がないので、
その日の自分の体調と相談しながら、二日酔いにならない程度の酒量を守ること。
これこそが細く、長く、酒飲みライフを楽しむコツです。